| 第44回東工大現代講座開催報告 |
千住真理子氏「命が音楽になる時」 |
| 附属図書館長 横山正明 |
|
第44回東工大現代講座を、平成16年11月11日(木)16時〜17時に、本学70周年記念講堂で開催いたしました。
今回講師としてお願いした千住真理子さんは、2歳半からヴァイオリンを始め、12歳でデビューの後、若くして数々のコンクール等で優勝するなど、常にその才能が注目されてきた方です。ほぼ満員の568人という来場者数にも、千住さんの講演への関心の高さが現れています。
講演では、そうした経歴からは意外とも思われる「挫折」という言葉をキーワードに、ご自身の経験を語ってくださいました。そのお話を通して、音楽とは何なのか、音楽の素晴らしさとは何なのか、その一端に触れることができたように思います。
千住さんは、幼いころから常に「天才」として見られ、そうした周囲の期待に応えようと、ひたすら上手く弾くための練習に没頭するあまり、精神的にも肉体的にも極限状態に追い込まれてしまったこと、その結果演奏や音楽そのものの意味さえも見失ってしまったこと、そして学生時代に2年間ヴァイオリンから離れるに至ったことなどを率直にお話くださいました。
千住さんの音楽観が変わる転機となったのが、依頼されて訪問したホスピスでの出来事だったそうです。一人の患者さんの要望で演奏されたそうですが、当時は練習もしておらず、ご自身にとっては決して満足のいく演奏ではなかったものの、ただ純粋に生の音楽を楽しむ患者さんの姿をご覧になり、それまでの「上手さを追求する音楽」とは異なる「人にぬくもりを伝える音楽」に目を開かされたとのことです。そのこともあり、ホスピスなどの施設における演奏は、現在でも千住さんの継続的な活動となっています。
その後、再びヴァイオリンを手にしたものの、元の感覚を取り戻すまでの長く苦しい道のりと、それを乗り越えられた瞬間の喜びとを、表現力豊かにお話くださいました。
また、学生時代に音楽が人に与える感動に対する科学的側面からのアプローチも試みられたこと、演奏家として演奏会場の音響効果などへのアドバイスを通して音響工学関係の専門家との接点が生まれたことなど、千住さんの音楽観をより幅広いものとしている側面にも触れていただきました。
講演の途中では、千住さんのご厚意により、思いがけず素晴らしいヴァイオリンの音色も披露していただきました。
千住さんの、心を揺さぶる講演とヴァイオリンの素晴らしい音色によって、受講者は深い感動に引き込まれ、音楽の豊かさ、素晴らしさを改めて感じる講演会となりました。
このような講演をしていただいた千住さんには、心より厚くお礼を申し上げます。
終わりに、この講演会の開催にあたり、多大なるご支援とご協力をいただいた関係者、ご来場いただいた多くの皆様方に厚くお礼を申し上げます。
|
これまでの東工大現代講座 /開催案内/ 東工大図書館Home
|